今回、柿生キリスト教会にいつもいらしている「あいあいあい」さんが寄稿してくださったのは、童話です。
「あいあいあい」さん、ありがとうございます!
教会の日々
教会の中での雑談の時、食事の時、祈り会の時、誰かの話しを聞いて、みんなでともに笑ったり、涙を流したり、同情したり、共感したり……。
そんなこぼれ落ちたお話を、そのまま聞き流してしまうのは惜しい、少し加工して、みなさんにお届けしたいと思いました。
もちろん本人には、必ず許可を取るので、ご安心を。
今回は童話にしてみました。(これはフィクションです。似ている人がいてもそれは気のせいです)
君の名前は
みっちゃんの家では今度ペットを飼うことになりました。
みっちゃんは嬉しくてたまりません。
「私は、ネコがいい。もふもふしてかわいい! 寝るときはだっこして寝る」
二年生になったので、もうひとりで寝ます。でもネコと寝れば寂しくない。
ところが、
「ぼくはイヌがいい。散歩に連れて行けるし、呼ぶと走って来るよ」
五年生のお兄ちゃんが言います。
「ネコだって呼ぶと来るもん」
みっちゃんも負けてはいません。
「ネコなんて散歩に連れて行けないじゃないか、イヌがいい」
「ぜーたいネコ!」
どちらもゆずりません。朝からズーとケンカです。
「お父さんとお母さんはどっちがいいの?」
お兄ちゃんが聞きます。
お父さんとお母さんは顔を見合わせました。
「そうだな―、お父さんは、イヌ派かな?」
お母さんは、チラッとみっちゃんを見て、
「お母さんは、小さい時からイヌを飼っていたから……イヌかな」
お兄ちゃんの顔が、みるみるかがやきました。
「わーい! 多数決で決まり、イヌを飼う!」
「いやー ネコでなければいや! ネコがいい!」
こうなると、みっちゃんは誰の言うことも聞きません。
お父さんもお母さんも困ってしまいました。
「じゃあ、こうしよう」
お父さんが考えながら言います。
「イヌを飼うけれど名前は、みっちゃんが決めていいよ」
お兄ちゃんが不満そうに口をとがらせます。でもこのままだと、何も飼えなくなりそうです。渋々賛成しました。
三日後、みっちゃんの家に子イヌがやって来ました。部屋のすみから心配そうにみんなを見ています。かわいい!
「みっちゃん、なんて名前にしたの? 呼んでごらん」
お母さんが言います。
みっちゃんは得意になって呼びました。
「ねこ! おいで、ねこ」
こうしてみっちゃんの家のイヌは「ねこ」という名前になりました。